乃木坂46「16人のプリンシパルdeux」メンバー別総評

  • 秋元真夏
    • ポンコツだが、東京中日を過ぎたあたりで何かを掴んだか急激に様になる。後半〜大阪に向けて更なる成功が期待されたがそうは問屋が卸さず。オーディションで自己紹介の度に、毅然とした意思を口にしていたのが印象的。スカイダイビングネタを多用した。
  • 生田
    • 何でも出来る人だが、基本的にコメディエンヌなのと出たがりなのとでそれがマイナス面となる事もあった。栄は単なるお手伝いの筈が、開幕早々主役かと思うほど前面に出て来たり、シリアスなシーンが大仰過ぎてコメディっぽく見えてしまったり。大阪千秋楽の栄オーディションでは後者が解消されて居たので、何か掴んだのかも知れない。演出家からのオーダーに対するレスポンスの良さは圧倒的。
  • 生駒
    • 見た目が少年なので沢村小坊主に何度か選出されたが、相手の間合いも考えず食い気味にサラサラをセリフを喋るのを良しとしている傾向がある。
  • 伊藤寧々
    • 東京千秋楽以外、ほぼ見せ所無きまま終わってしまった。「〜希望」MVの演技から開幕前は期待していたが、東京〜大阪通じて演技を掴めないまま。戦い方も下手でアドリブも効かず常時苦戦していた。もの静かな芝居の時にふと見せる雰囲気が凄く良いのだが、登場人物全員変人のような今回のケースは不得手だったかも知れない。アドリブが得意でないのは自覚があるようだが、たまたま生田/高山がズバ抜けているだけであって、元来アドリブと云うものは誰もが得意でないのである。その素振りを見せず、最後の1秒まで諦めずに食い下がる(永島のような)姿勢に、人は何かを覚えたりするのではないか。
  • 伊藤万理華
    • 3女(みさこ)を別解釈で演じ分けたのには驚かされた。アドリブは弱いが、役に対する勘のようなモノが働くのか演技自体はすこぶる良い。もっと活躍すべき人だったと思う。
  • 井上小百合
    • アクは無いが、演技/アドリブともに割と何でもサラっと出来てしまうタイプ。8役選出と云う若月/西野に次ぐ記録なのは驚き。"ボラギノール"など商品名で笑いを誘うケースが多く、大阪公演における大阪弁ひとことシリーズ等企画性も有る。戦隊もののゴッコ感が否めない部分も有るが、それらを寄せ付けない得なキャラ。
  • 衛藤美彩
    • その才能を知られつつも出番のない不遇の存在としてのイメージが強いが、「演技で評価させてやる」と云わんばかりの強い意思を感じさせた。何度も演じた長女(ひさ子)を更に練りこんで自己更新してゆく様は感動的。樋口の長女も良かったが、自己追求のレベルが衛藤は違った。東京公演で最後に演じたひさ子がこの役の正解だった気がする。面白い事が出来る人ではないが、知力で演出家のオーダーを乗り越える場面を何度も見た。
  • 川後
    • 妙な味が出せる人物。ちはると立ち位置が似ていて、両者で票を食い合って共倒れするケースが多い気がした。誠一に固執していたが、戦略次第では他役で存在を示す手も有った。選出回数は少ないが、「僕の妹がこんなにかわいい訳がない」と悶絶して涌かせたように、アドリブパートで印象を残す場面が多々有った。
  • 川村真洋
    • 役に対する解釈が直線的で、大仰な方向でしか考えられないのが惜しい。明田川若月とのベストカップルは川村の子坊主だった気がした。出来ない人ではないが選出までに時間がかかった為、ようやく役に辿りつく頃には他メンバーが演じ尽くしてペンペン草が生えていなかった。
  • 齋藤飛鳥
    • 和田と共に子供枠だと思ってあまり注目して居なかったが、とんでもない。表現の幅は狭いのだが、演技で評価されたいとの意思が強く、一見不似合いな役でもやりたい役に果敢に挑んで何度かモノにしている。涙ながらに「私の明田川をどうしても観てほしい」と訴え、能條/若月あたりが立候補しそうな千秋楽公演でも引かずにぶつけてきた姿は立派。声もしっかりしていて聞き取り易い。逸れるが「北嶋〜あやめ〜」の名乗り口上が異常に良く、クセになってしまった。
  • 斎藤ちはる
    • 珍妙な味を出す人。滑舌が悪くセリフを放り出しがちなので損をしているが、この味は他メンに出せないので上手く機能すれば幅広く活躍出来た。陽気な空気をぱっと出せる感じは強み。
  • 斉藤優里
    • 優里x万理華の3女バトルは見所の1つ。オーダーに対するレスがブリッコばかりなのが悪い意味で目立ったが、後ろで控えるメンバーをガンガン使って展開させていく様は持ち味の1つ。騒ぐパターンとブリッコの2パターンの演技を主軸としていたので、これに少し含みや幅を持たせられれば他役ももっと出来たはず。感覚派。
  • 桜井玲香
    • 華の無さとパンチ力の無さが哀しい所だが、役の追求度が半端無い。いつみの半生を語れ、とのオーダーで見せた一人芝居は伝説的。
  • 白石麻衣
    • 開幕当初これはヒドいと思ったが、徐々に調子を上げて来た。次女ふさこ/北嶋/誠一あたりにフォーカスして他に浮気しない戦い方なのは、恐らく本人も自信が無いであろう「演技」を確立させる為だったのではないかと思う。判官びいき傾向の私はあまり人気メンに汲みしないのだが、最終的には評価したメンバーの1人。
  • 高山一実
    • 高山が面白いのは笑いのセンスの問題だけでなく、華が有るからだと思う。彼女が居るだけで現場が明るくなるのは努力で得られるものではない。あらゆるオーダーに笑いをブチこんで役を得るため、3女のような役に選ばれると本番がバランスを欠いて崩れてしまうと云う恐ろしい面も有ったが、誠一のような清涼剤的存在は本領発揮と云う感じだった。子坊主/北嶋をやらなかったのは少々謎。
  • 永島聖羅
    • 「私だけハードル高くないですか?」と漏らしたように、演出家が無茶な要求を永島に与え続けるくだりが有ったが、あの手この手で全身でぶつかっていく様は素晴らしかった。コメディもシリアスも何でも対応できる演技力は、観ていて安心出来る存在。上手いメンバー、として観客が認知した人物の1人だろう。桜井らと何度も競り合って念願叶わなかった、東京公演後半の栄争奪戦は注目のカードだった。
  • 中田花奈
    • アドリブ力も低く、演技も大根、滑舌も悪い。にも関わらず身の丈に合わない役を欲しがると云う、かなり難しい存在。これで10役制覇を目指していたとは完全に自分が見えていない。セリフの少ない役だと割と良く見える事があったので、ウィークポイントを自覚して克服してゆかないと今後(演技の仕事をしたいのであれば)厳しい。
  • 中元日芽香
    • アドリブ力が弱く、出来ずに泣いたり投げ出したりする場面も見られたが、時間ギリまで粘って欲しかった。北嶋が好きで何度も演じたので其のイメージが強いが、ひさこ/いつみも演じて居て実はそれほど悪くない。まだ全然ポテンシャルを余らせているはず。
  • 西野七瀬
    • 10役選出1番乗りの記録で涌かせた人だが、どの役も印象に無い。
  • 能條愛未
    • シリアス/コメディ/アドリブ、何にでも対応出来る全方位型で、明田川を若月と取り合った。笑い要員のように見られがちだが「私の本気を観て下さい」と訴えた大阪千秋楽のように、演技で勝負したいと考えている人である。大千秋楽の明田川は輝いていた。
  • 畠中清羅
    • アドリブは投げ出す、戦略ゼロと問題児では有るが、沢村小坊主が愛らしかったのが印象的。逃げずに全公演出演するだけでも胃が痛い気分だったろうと思う。
  • 橋本奈々未
    • 兎に角「栄」に出まくった。というのも栄以外は下手なのである。頭のいい人なので、そこらの自覚が有るのだろう。
  • 樋口日奈
    • マジメな人なのでアドリブは苦しかったと思うが、衛藤と争った長女役は見事だった。回を重ねる度に衛藤がバージョンアップしてゆくので水を空けられてしまったが、開幕当初は甲乙つけがたかった。この年齢で長女役が様になるのは、何か特殊な存在感のようなものを持っている証拠だと思う。
  • 深川麻衣
    • 歌下手、演技下手だがそれでも尚選出されてしまう人物。「人気でなくガチで選んでいる」と云われるプリンシパル公演だが、それを否定する象徴のような存在だった。長い目で見て損をするのは、彼女自身だと思うのだが。
  • 松村沙友理
    • アドリブで笑いをとっての選出でなく、演技で評価して貰いたいと考えていたと思う。但し大根である
  • 大和里菜
    • 佇まいが毅然としていて洋子っぽい振る舞いだと感じたし、本人も気に入っているようだった。面白いキャラを持つ人なのになかなか表出しなかった。
  • 若月佑美
    • 演技に関して地力が有るので、スタートダッシュは利くのだが練りこみが足りない。栄/洋子/長女あたりはいつみ役を崩しただけにも見えてしまった。本来アドリブ力の強いイメージは無いが、どうにか知恵で乗り切った。役の選び方が実に戦略的で頭が良い。
  • 和田まあや
    • 相手役に出て来くるも、メンバーをサポートせずぶち壊して帰る恐ろしい存在。演技をする、というより役無関係に好きなように伸び伸びやる、と云う姿勢の持ち主。