2013年邦楽ベスト

  • 楽曲ベスト
    • Chu-Z「Chu Me Now!!」至るところで神曲を連発する小田桐ゆうき作品の1つ。ハウスを主体としたイヤミの無いキラキラ系ダンスミュージック。
    • Jumpin'「BYUUUNN!!」北陸新幹線開業へ向けてのキャンペーンマスコット的存在であるJumpin'。ポンキッキウゴウゴルーガ小学館プロダクションが担っていた、大人の作家陣が本気を出したキッズ系プロダクツを思わせる1曲。石川県へおいでよと呼びかける歌詞。日本語詞の無理のない韻。ハウス調のアレンジメントとミックスが心地よい。こちらも小田桐ゆうき作品。
    • TEAM MII(現3776)「ノートブックの私」 富士山ロコドル。いかにも近年のアイドルが歌っていそうなユーロ歌謡のC/Wに、作家石田彰の趣味性が現れたトラックが散見されるのが面白いグループ。当該曲は一昔前なら渋谷系フォロワーあたりがリリースしていた様なウィスパー系80'sシンセポップ。
    • 私立恵比寿中学「頑張ってる途中」レキシ池田が書き下ろしたスカ調のメッセージソング。ネタ曲に走りがちなスタダが突然マジな曲を送り出した時の反動が凄い。
    • Rhymeberry「SUPERMCZTOKYO」楽曲自体は随分前からライブで歌われてきたものだが、サンプリングの許諾待機だったのかようやくリリース。韻の心地よさ、ラップスキルともに申し分ない。
  • アルバムベスト
    • 泉まくら「マイルーム・マイステージ」 - 術ノ穴所属作家を中心に多様なプロデューサーを楽曲ごとにアサインした結果、幅の在る音楽性を持ったラップアルバムに仕上がった。イタリアのチネジャズからサンプリングしたEVISBEATSによる「棄てるなどして」が白眉。
    • せのしすたぁ「I'm sick!!!」 - 福井で作曲家/イベンターとして活動している森永康之が自身の事務所から送り出したローカルアイドルで、80年代のPWL系ユーロビート(パラパラでは無いのでご注意を)が主体。 バグルス的な要素も少しあるトラック群は、音圧競争全盛のこの時代には少し物足りないボトムであるが、クラブで聞くと丁度心地よい。
    • 水曜日のカンパネラ「クロールと逆上がり」「羅生門」- ボーカルのコムアイ、作曲/編曲のHidefumi Kenmochi(釼持英郁)、ディレクション他全ての面倒を見るDir.Fによるプロジェクト。釼持英郁はインディーズでディープハウスを主体にピアノやアコースティックギターを散りばめたオーガニックな作品をリリースしており、その氏がこういうアイドルとオルタネイティヴの中間の様なアーティストプロジェクトを立ち上げるとは思わなかった。カンパネラはよりダンス感を強調したBPMであったり、ボーカルのチョップを施していたり、メロディアスな傾向が強かったりと自身作と比べポップな方向を目指しているのが分かる。文学少女気取りの装丁、和風メロディーや言葉遣いなど、その昔ゲルニカ赤池晴子界隈を思わせるな...と思っていたら、まさにゲルニカと云う曲名のトラックが在って笑った。
  • 2013ブレイクアーティスト
    • PellyColo - 80年代がキテいる、と云われてかれこれ10年経つが、それがマイケル/マドンナ/ボンジョビ程度の意味合いでしかなかった所、ここ数年そうではない方面の音楽を追究する人々が現れた。その中の1人がPellyColo氏で、インスト作を中心とした80'sコズミックディスコなトラック群を発表している。自作以外ではEspeciaに楽曲提供。インタビューに依るとEspecia陣営がPellycolo氏のSoundcloudを聞いてオファーしたとのこと。
  • 総評
    • 編曲家の意向や趣味が割とそのまま表出するところに、アイドル楽曲の良さが在ると考えています。またプロツールスレコーディングになって以降、マルチを覗いても似た様なプラグインが刺さっているだけでは?とつい思えてしまう昨今、低予算ゆえオルタネイティヴな音像のまま世に送り出される事も多く、それはそれで面白かったりもします。死去した音楽家のスタジオセッションデモが発掘された際、ミックスも録音状態もあまり気にならない感覚に近いのかとも。
    • 2013年はアイドル以外の曲を殆ど聴かなかったので、かなり偏ってしまった。