乃木坂46「16人のプリンシパルtrois」メンバーごと総評

  • 秋元真夏 日常は面白い人だが、台本に何かを織り込んで笑いを求められるとからっきし。モノマネのチョイスセンスもダメ。当然演技そのものもダメ。とどうにもならなかったが、失敗がかわいく見える人でもある。
  • 生田絵梨花プリンシパル」のアイコンを示せる人物。アドリブ力、演技力、ステージの掌握力、全てに於いて完全体のような存在。とされて来たが、コントでは先行されると追えない、支離滅裂なキャラを誰かに入れられると影響を受ける、相手を潰すと云うような鬼畜な戦法をとらないので逆に潰される可能性がある、アクが強いので存在感の薄い役を演じるに不向き、とウィークポイントが散見された。やりようによっては倒せない相手ではない。生田だって人間である。
  • 生駒里奈 総選挙直前の同情票のような形で選出されるまで泣かず飛ばず。総選挙で14位を獲得してリミッターが外れたか、志村けんが往事にやっていた手の震える老婆キャラを何度も繰り返し、選出回数を増やしてゆく。しかし肝心の芝居が下手なのと、調子にのって不要な笑いを入れたがるKYな所があって2幕に立つ彼女を好ましく思ったことは1度もない。
  • 伊藤万理華 演技力は問題ないが、研鑽を重ねて尻上がりで詰めてゆくタイプの為、スピード感を求められる今作には不向きだったかも知れない。また1幕コントは尺の関係上ベタめの方が進行しやすく、彼女が好みそうなシュールな笑い(例えば時間をかけてくすぐってゆく様な)タイプは、troisの持つ構造とフィットしづらかったか。
  • 井上小百合 プリンシパルtrois MVPの一角。設定を守りつつ、キャラを織り込みつつ、メタネタを入れつつ、天丼やりつつ、他人に乗りつつの縦横無尽な手数がすごい。それが決してゴリゴリプッシュしてくるでなく、ごく自然なふるまいの中で行われるのもまた好感度が高い。コント中台本を先読みして、言葉尻だけでなく言葉のアタマからきちんと色づけして演じていたのに感心。
  • 衛藤美彩 笑い耐性の低い人だが空気を読めるようで、接着剤として活躍。井上と大和の折り合わないキャラを間に入って右へ左へ話題を振ってまとめあげた不動産コントが印象的で、場がスムーズに進行するよう交通整理をしてくれるが、その力が常に発揮される訳ではない。
  • 川後陽菜 日頃トークで湧かせる人もコントとなるとほぼブリッコ読みのみ。本番も特記すべき点見当たらず。
  • 川村真洋 本編では安定した力を出すが、周囲のアドリブにはノー対応。時に話の辻褄がおかしくなる場面があった。コントでは台本と乖離の激しいキャラを持ち込んで周囲を戸惑わせ、自身で回収しないと云うことがまま有る。歌唱シーンに彼女が居るとボトムが突然安定する。
  • 北野日奈子 開幕当初、どんなお題も平泉成で貫くと云うことをやってそれなりの笑いを産んでいたが、劇中生駒に「それいつまでやるの?」と云われ、翌日「先輩に怒られた」とのことで封印。暗黒の時代に突入し、本人曰く「肩が重くなった。霊が憑いている」その後、ネタ切れした1期生が芦田愛菜井上陽水などのモノマネをそれ以上の回数、執拗に何度も繰り返す状況が発生し混迷を迎えた。北野の平泉は本当に悪い施策だったのだろうか。
  • 齋藤飛鳥 真面目に演技がしたいのか当初は淡々とコントを消化するのみだったが、モノマネに目覚めてから一直線。時に醜いと思うほどモノマネに執着した。終盤これは違うと察したか、台本に添わないモノマネを強引にねじ込むようなケースは減った。アタマは悪くないしワードセンスに光るものが在るが、そのコントロールが出来るようになれば。ステージ上のふるまいは堂々としている。
  • 斉藤ちはる 笑いの神が降りたと騒がれたが、ちはるバブルも5公演ほどで終わった。どっしり構えた気味の悪い紳士のようなキャラがウケたが続かず路頭に迷った。
  • 斉藤優里 眼鏡をかけると福笑いのような顔になる。本番でアドリブをかまそうと狙いたがるがさほど決まらない。
  • 桜井玲香 クジ運の悪さも在ったが、そもそも流れを読む力が全く無い。何か閃いても最後までやりきる胆力もない。パムの病弱感の表現は抜きん出ていたが、本番に出れないのであれば、それなりに有する演技力もなしのつぶて。
  • 白石麻衣 役に執着しない。コントで功を焦ることもない。常にその場で臨機な対応をとり、風を読む。にも関わらずコントが終わる頃、いつの間にか彼女のペースに呑まれていたと云うことに気づかされる不思議な存在。本番も安心して任せられるが、さほど興味のない役は割と流す。
  • 新内眞衣 その後他人がマネする事になるキャラを次々開発、ぶっちぎりのスタートダッシュで開幕を迎えた。ところが基礎票の少なさからか実力通りに認められず苦しんでゆき、攻撃を打てない状態にまで落ちぶれる。1幕で力を発揮したほどには本番で生きない人で、無味無臭のままENDマークを迎えることが多かった。
  • 高山一実 初日でマキアを選択したように、宛て書きかと思うほどマキアが似合う。逆に言えば他が全く似合わない。全ての役柄にマキア要素を入れてしまうのは問題あり。台本を貰った段階でアイデアがポンポン浮かぶのか、ラストの大落ちまでを瞬時に描けている事があり、さすがを越えて恐ろしい。
  • 中田花奈 昨年は大苦戦だったが、2公演連続10役、3公演目侍女と好スタート。不調を嘆いた時期もあったが、全体で見るとほどよく1幕で活躍し、本番も滑舌を除けばソツなくこなした。アイドル的なブリッコキャラだけで戦うことが目立ったが、モノマネ大会で混乱する1幕を諌める場面もありマジメな一面を伺わせた。
  • 中元日芽香 台本を忠実に再現することに腐心するため、アドリブ重視の1幕で全く評価されなかった。落選常連、稀に侍女という時期が最終週まで続き、首でも吊るのでは?と思うほどの抜け殻で3幕を踊る日々。ところが或る日「ひめたんタクシー」なる設定を開発。ドリフで云うところの「もしも運転手がひめたんだったら」の視点でコントを展開。場内の喝采をうけて堂々選出された。以降、"ひめたん本人役" のままコントに出続け3公演連続選出。1幕はなかなか苦しい人だが、2幕のクオリティが高く、特にキャサリン役での交通整理、つっこみ、そして説明するまでもない歌唱力など伊達にアクターズ出身でないことを見せつけた。
  • 永島聖羅 万年選抜外のような日々。というのも、マジメに演じるかブリッコか。その位しか印象がない。本番は安心して任せられるのだが、かといってベストマッチと云うこともなくスーパーサブ的な立ち位置に終わった。敗戦者のPRタイムで常に2期生の背中を押してサポートする姿が印象的。人柄を伺わせた。
  • 西野七瀬 昨年、技術力もないのに毎度選出と一部で批判の対象となった人気投票の象徴のような存在。今年は演技力よりも笑いを察知する能力が問われる内容ゆえ、関西出身の人間が持つ間合いの良さを発揮。他者との関わりの中で笑いを構築していった。ただスピード感が悪い。
  • 能條愛未 面白い台詞を面白くなく読み上げる天才。台本上の笑いを次々殺し、他者との間合いを全く無視して1人でやりたい芝居を勝手にやる人。それは1幕のコントでも現れており、協力してコントを産むのでなく、見飽きたモノマネを独善的に持ち込んで周囲を置いてけぼりにする。
  • 橋本奈々未 怪我で休演が続き、中途参戦。ネタ切れで客もメンバーも飽きた頃舞台に登場、かなり期待されたがコント台本を目で追うのが精一杯と云う状況が続く(が何故か選出される) しかしアタマのいい人なので直ぐに力を発揮。1幕での自身の所作を身につけていった。気に入った役を何度もやる傾向は昨年同様。ルイーダを5度やり上手いが見飽きた。3回目くらいの、ようやく形になった辺りが完成度としてはピークで、後は横綱相撲。
  • 畠中清羅 選出されれば飛び上がって喜ぶ微笑ましい存在。何度か選出されたので昨年ほどメンタル的なダメージは無かったようだが、そもそも2週間以上のロング公演に、彼女自身が飽きていた様に見えた。
  • 樋口日奈 笑い耐性の不安が強い人だが、無理をしない生真面目さをそのまま活かした立ち回りで1幕を突破。選出数は少ないが、その中に主役ポリンを含んでいるのだから見上げたもの。ベルを狙ってようやく選出〜中間テストで休演〜ポリンを2度目で獲得〜キャサリンを逃すも侍女で千秋楽を迎えると云う、俯瞰でみれば幸せなトロワ人生を歩んだ。
  • 深川麻衣 一見無味無臭だが伊達に選抜メンとして活動している訳ではない。機を見て技を出す人であり、接着剤の役割りも出来る。濃いキャラが続くとお茶漬けが食べたくなるそんな存在で、疲弊した中盤以降、困ったら深川のような所があった。
  • 星野みなみ マイペースでボケたところが有るが、間が良く台本に沿った芝居をしようと試みる人。タイミングを間違えても極力役の設定を逸脱しないで処理しようとする。
  • 堀未央奈 バケモノ。1年前にここでお披露目された新人とは思えない肝っ玉。芸人やアニメから引用したキャラを自身のフィルターを通して台本に沿わせてゆく力とそのスピード感が凄い。
  • 松村沙友理 3公演目あたりまでは自身のキャラと台本との中間点を見いだせて居たが、ポリンを2度やったあたりからやりたい放題。本番を滅茶苦茶にする最悪人間。
  • 大和里菜 理解不能なキャラやモノマネを持ち込み、他人と係わり合おうとしない。本番も同様で1ステージ中にモノマネを3度変えるなど意味が分からない。パム役で井上陽水のマネをする必要がどこにあるのか。これは違うとようやく理解したのは、明日が千秋楽という日だった。
  • 若月佑美 断トツのステージセンスで9公演連続選出。若月無双と云われた。一方、親が観覧した公演や10役達成が手に届いた公演など、肝心なところで自分を見失う傾向があり、前のめりな演技、他人のミスに付け入る、謎なモノマネなど調子を狂わせた。弛緩したステージに陥っても次々とアドリブを拾って処理し、本線に戻し舞台を成立させてゆく。そのステージ捌きは見事。
  • 松井玲奈 侍女が台詞を忘れた際、ルイーダを演じる彼女は即興で台詞をこしらえた。侍女が台詞を思い出せるようそっと水を向けたのである。さすがの対応力に舌を巻いたが、我々の知る松井玲奈を越える事は無かった。フル参戦してその力量を示して欲しかった。もっと出来る人である。
  • 伊藤かりん 2期生でありながらポリンを獲得した1人。快挙と云いたいところだが、本番は無難でさほどでもなかった。
  • 伊藤純奈 物怖じせず先輩に挑むタイプ。経験があるのか少しキャラを乗せてくる。念願のロザリオは果たせなかったが6回中4度侍女をやっており、なかなかの敢闘賞。
  • 寺田蘭世 恐らく脳内では色々と浮かんでいるのだろうが、自分で処理出来ぬまま1幕が終わってしまう。そんな印象を受ける。
  • 渡辺みり愛 パムだのマキアだのとあれこれ立候補し、これで最後の6公演目と云うときにポリンを志願。川村とのタイマンで見事選出された。2期生で大丈夫か?との声もあったろうが、みり愛がポリンとなって下手からステージインした時、おおと会場がどよめいた。それほどまでに振る舞いがポリンそのものだった。その6/8(日)昼公演は他配役のバランスもよく、名公演の1つ。